ステレオ魚眼HMD用3D撮影

Oculus RiftやGoogle Cardboard、割り箸スコープのようなステレオ魚眼HMD向けの映像を撮影しました。今回はパノラマではなく3D映像です。本来は以前購入した魚眼レンズKSW-3を用いる予定でしたが、ありものでもっと簡単にできそうな方法を思いついたので試してみました。

用意したのはパナソニックのマイクロフォーサーズ用3Dレンズ Lumix G H-FT012。左右2つの小さなレンズでステレオ写真が撮れるという珍品です。

3D lens

勢いで買ったものの使いみちがなく放置していたが、ようやく陽の目をみるか


2つのレンズからの光はセンサーの左半分・右半分にそれぞれ像を結び、ちょうどサイドバイサイドのような画になります。光学的なものなので境界はやや重なっていますが、このレンズを装着した対応カメラは3Dモードに切り替わり、自動的にトリミングを施してきれいな3D写真にしてくれます。

それは結構なのですが、あろうことかこの3Dモード、なぜか写真しか撮ることができません。動画は撮れないのです。操作によって3Dモードを解除することもできません。

そこで3Dモードに替わらないよう、レンズの電気接点を絶縁し、カメラから認識できなくします。単焦点・絞り固定のレンズなので接続がなくても問題はありません。

3D lens hack

金色の電気接点【左】にテープを貼って絶縁【右】。シャッターボタンが押せなかったらカメラの「レンズ無しレリーズ」を有効にする。なおパナソニック製対応カメラ以外ではそもそも3Dモードなんかないので細工不要

これでステレオ動画が撮れるようになりました。次はこれを魚眼にします。パノラマ撮影に使った180°魚眼コンバージョンレンズを3Dレンズの先にマウントしました。

3D fisheye lens

3Dレンズにはマウント用のネジが切られていないためテープで留めた。魚眼コンバージョンレンズは安さが決め手のNORDWARD 58mm 0.25X 180° FISHEYE LENS G2。画質は価格なり

撮影結果はおおむねイメージ通り。左右の視界がやや離れ気味ですが、悪くありません。

Stereo fisheye image

素の録画映像。視界が離れて両端が切れている。マイクロフォーサーズよりセンサーの大きなカメラを使えば全部収まるかも

とりいそぎ無加工のままiPhoneで再生したものを割り箸スコープのレンズ間隔を広げて見てみると、バッチリ広視野角の立体視ができました。

いけると確信できたので映像をちゃんと加工します。使用魚眼レンズの画角180°に対してOculus Riftの画角は110°(対角)。おおざっぱですが、左右両視界のやや内側をトリミングして画面一杯に拡大してやればいいでしょう。AfterEffectsで変形させようとがんばったもののよくわからなかったため、手っとり早くProcessingで変換。1フレームずつ読み込んでは加工して連番画像出力しました。結果はこちら。

HMDのレンズを通して見ると歪みがとれ広視野角になる。立体感が控えめなのは3Dレンズのステレオベースが短いため。またF12と暗いので感度を上げざるを得ず、ノイズリダクションによって細部が潰れがち

まだ手元にないためOculus Riftでは試していませんが、簡単な機材のわりにはなかなかの映像ではないでしょうか。

3D Fisheye Camera

使用カメラはGH4。4Kで撮ろうと思ったが、4Kモードでは画角が狭まる(センサーの中央4K範囲がドットバイドットで記録されるらしい)ため断念